売上のからくり

売上 今日は売上高の話をしようと思います。
ある会社がどのような会社かを判断するときのひとつの基準として、“損益計算書を見る”という方法があります。
儲かっている会社であるか、会社の取引の規模はどのくらいか、適正な営業活動を行っているか、などがこの資料から分かります。

この中で利益が一番重要な指標なのですが、それに負けないくらい、会社規模をあらわす売上高も重要な指標のひとつです。
その売上高について、触れてみたいと思います。

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日本の売上高の第一位は、トヨタです。
連結売上高で18兆円ほどあります(2005年度)。
二、三位と総合商社の三菱商事、三井物産と続きます。
その後も、商社が上位にランクインされているのですが、ここに売上高のからくりがあります。

商品売買の仲介を主な業務としている商社では、例えば、1億円の商品をA社がB社へ売るときに、仲介をして手数料を100万円もらったとします。
商品はA社からB社へ直接納品されます。
その取引を仲介した商社は書類上、A社から1億円で商品を仕入れ、B社へ1億100万円で売り上げたということになり、差額分は利益100万円ということになります。
現在の日本の会計基準では売上高1億100万円、仕入高1億円、利益100万円ということになっています。
これが商社の売上高規模が大きくなっているからくりです。

しかし、アメリカの会計基準(国際会計基準とほぼ同じ)によると、売上高は仲介した手数料分の100万円しか認められません。
したがって、全く同じ取引でも売上高100万円、仕入高0円、利益100万円ということになるのです。
会計基準だけでこんなにも売上高規模が違ってしまうのです。このことはIT業界についてはもっと複雑なものになっています。

新聞の記事から引用します。(05年5/27:日経新聞1面記事より)

○情報ソフト関連企業の会計の問題点と検討ポイント

▽ソフトウェアは無形で、取引があったのかの確認が難しい
・・・・・電子メールだけで製品取引ができてしまうので、目に見えず分かりにくい。 →仕様書などの書類の保存や内部の審査体制の拡充

▽正式な契約が結ばれていないのに、開発中のシステムを資産に計上
・・・・・お客様が契約するかを決める判断のもとになる提案書や、要件定義書の作成は工数が多大にかかる場合がある。 →契約締結を裏付ける書類の作成、保存

▽追加コスト発生に備えた引当金を積んでいない
・・・・・大きなバグが発生する可能性があり、売り上げた段階ではそれは分からない。 →引当金を計上する際のルールを作成

▽納品の確認がないのに売上高を早期に計上する
・・・・・売上高の計上基準である、検収基準が一般的であるが、システム移行などが順調に進行しない場合など、お客様が支払いを拒否する場合もありえる。 →納品確認の基準を作る

▽契約を仲介しただけなのに製品の総額を売上高に計上する
・・・・・前述の商社の取引と同じ内容である。 →仲介だけの場合は手数料のみを計上

これらも、売上高の実態をどのように現すのが適正かという論点であり、収益(売上高)と費用(原価)は同じ会計期間内で対応させなければ、 きちんとした利益が算出されないといった、会計上の要請から求められているものであります。

最近のメディアリンクス事件に代表されるように、売上高をどのように考えるかで、利益というものは大きく変わります。
数字だけでなく、実態を何とかして把握するように努めなければ、数字に踊らされることにもなりかねません。
数字だけで分かったつもりにならず、実態はどうなのかということに意識を向け、自分の頭で考えるということが必要です。
そのためには知識だけでなく、常に考えるという主体的な行動も必要不可欠です。

会計に関して言えば、企業の粉飾決算が続き、会計への信用が薄れている今こそ、公明正大なルール作り、厳格化が求められているのです。

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